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前半、コンディション不良で不慣れなポジションを任された稲本がまったく機能せず
“中盤の石”と化してしまったことと、 コロンビアがけっこう飛ばし気味にプレッシャーをかけてきたことで、 日本の攻撃に見どころは全く無かった。 たぶんペナルティエリア内シュートはゼロではなかったか。 後半、スタミナの切れ出したコロンビアに対し、 日本は羽生と今野が入ると一気にダイナミックな展開に。 左サイドで高原が頑張ってボールを奪いグラウンダーのクロス、 羽生がスルー、俊輔が落とし、 遠藤が上がってきた中村憲剛にパス、ダイレクトシュートの場面、 あれが決まっていれば…。 結果は0-0の引き分け。 まず、中1日の試合日程にも関わらず あれだけガツガツ来てくれたコロンビアが素晴らしかった。 ここ最近のキリンカップの中では最高の対戦相手だった。 しかし、それにしてもなんと語ることの多い試合だったか。 あれだけ「水を運ぶ選手」の重要性を強調しておきながらオシムは スタメンに俊輔、遠藤、中村憲剛、そして稲本まで使ってきた。 (今回のこの選手起用、90年W杯・ユーゴ代表監督時のメディアに対する “当てつけ起用”とは、少し違うものだと思うのだが…。) 前半、一時的に中村憲剛と稲本がポジションを入れ替えているだけなのかと思ったら、 ずっと中村憲剛が中盤の下がり目でボールを散らしていた。 稲本はコンディション不良に加え、不慣れなポジションで割を食ったカタチだが、 オシムはこの試合で初招集である稲本の“ポリバレント”性を少しでも試したかったのと、 実際にプレイをさせることでメッセージ(期待?)を送ったのではないか。 なぜならオシムの欲している「中盤の底で守れてゲームを作れる選手」という条件に 日本人選手で稲本以上に当てはまる選手はいないからだ。 その条件なら、中村憲剛よりも絶対に稲本だ。 今、日本が目指しているサッカーにピッタリの選手であり 今後確実に使われる、と個人的には思う。 そして本来のポジションではないにも関わらず、毎回必ず仕事をする阿部と今野。 安定感バツグンの中澤。 高原はFW陣で頭一つ抜けている(ここ数試合の頑張りは感動的だ)。 右サイドを何度も駆け上がる駒野、 誰もが一目置く“エレガントな選手”達の潤滑油を果たそうと懸命にプレイした羽生。 チームのカタチが出来つつある。 ジーコジャパンの後期からは日本代表に対して、 勝ち負けや得点に興奮することはあっても、 サッカーの内容自体に興奮することは正直言って無かった。 でも昨日のコロンビア戦の後半は、プレイ内容に少し興奮した。 そして選手達の頑張りにも。 オシムの言いつけを守ろう守ろうと、まだ一本調子な感じはする。 でも、そこは体調が戻った時の俊輔に期待したい。 俊輔が今の代表にフィットした時が「応用編」のスタートだと思う。 オシムの発言は全て「釘」だ。 例えば、時には俊輔を批判し、中村憲剛を批判し、DF陣を批判する。 時には“水を運ぶ”鈴木啓太を絶賛し、ドイツでプレイする高原を持ち上げたりもする。 内容が良ければ負けてもよい、と言ってみたり、肉でも魚でもなかった、と言ってみたり。 しかしそれらは全て、メディアに向けて刺された「釘」だ。 サッカーをサッカーとして、より誠実に伝えるための、オシムなりの。 オシムは間違いなく、エンターテインメント性に溢れるサッカーを志向している。 口には出さないが、それはジェフでやっていたサッカーがとっくの前に表している。 そして、よくロナウジーニョやメッシを引き合いに出し、 「日本にはスーパーな選手はいない。」と言う。その通りだ。 しかし“スーパー”ではない“エレガントな選手”も“水を運ぶ選手”も、 実は皮肉のさらに裏返しで、 オシム文脈での日本人プレイヤーに対する最高級の褒め言葉でもある。 そしてそれらは全て 「サッカーはコインの裏表のようなもの」という事を表しているのだ。 クイックネスやアジリティ、勤勉さを生かし、 足下にボールを出すサッカーから、スペースにボールを出すサッカーへの転換。 ボールを持ってテクニックで勝負するのではなく、 フリーランニングとテクニックを駆使してスペースを作り、そこで勝負するサッカー。 オシムの言う“日本化”が今までで最も見えた試合(前半を除く)なのではないか。
by masashi10034
| 2007-06-06 16:15
| Football
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